2022年11月16日水曜日

宮城さんのこと

 宮城さんの事務所に一度だけ伺った、おそらく私が会社を辞める直前くらいのとき。Fちゃんとmさんの女子3人、だったか。なんとなく宮城さんの仕事は知っていたが、親しくお話というほどではなかったので誰かに誘ってもらったのかな?3人でわやわや話してて、宮城さんはそんなに喋らないで飄々と聞いていた。それまで大人というものは若い人に喋るものだと思っていたので、ほおー都会的な大人は違うなあ、また誘ってもらえるのかな。しばらくして宮城さんが短い挨拶と共にfacebookを辞めてしまった。それまで気の利いた短いコメントを時々載せていたと思う、残念だった。そして半年くらいで亡くならはったというのでびっくりした。確か青山墓地だったかお別れの会に行った、パビリオンのような会場でぽかーんとしていた。

で、宮城壮太郎展を今開催というお知らせとチケットを奥様からいただいた。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00210
なんとなく【私らの少し上の年代のプロダクトデザイン】て一番華やか上り調子の頃、今見たらどうなんだろう、行くのを躊躇っていた。たまたま東急ハンズのロゴがカインズ合併で変わる(nendo作)というので、なんだか踏ん切りがついて終了直前に行った。

そうか浜野安宏さんのFUJICA HD-1シリーズもだった、憧れましたよ。プロポーションや色使い、表面光沢、アクセサリー多くてライフスタイル提案型で。パッケージのロゴの入れ方とかもよかったなあ。手描き図面を見れたのがよかった、センター円筒にレンズとファインダをどう配置するかでサイズが変わるとこなんかわかるわかるー。そしてポスカラ?で描いたレンダリング、会社にいた頃ポスカラ着色のフィルムパッケージのダミー以来の超絶技巧。私らのときは既にスピードライマーカーやコピックが発売されていた、よかった。
こういうのは商品化の過程の産物なので未練がましく何十年も保管してるもんじゃないと思って、一時じゃんじゃん捨てていたが、ちょっとは残してないと全く忘れてしまうんだろうな。今後はデータになるから益々跡形もなくなってしまうよ。























本展のチケットのビジュアル、チェリーテラスのスタッキングできるテーブルウエア、思ったより時代が後(1990年代の仕事と思っていた)だった、無印やクロワッサンの店と前後しているのかな。ツンツンは会場モニタの映像で名児耶さんの話でエピソードが聞けた。

それにしてもモダンベーシックデザインなフツーのものが静かに並べられている。グラフィックも一緒にデザインされて出しゃばらずまとまってる、1980年代かごちゃごちゃしていたプラスチック雑貨がだんだん整理洗練されてきた(サンリオもそんなタイミング)し、そういうのが話題になったりした。PLUS, ASKULなどあの時代がライブなプロダクトデザイナー(まさにワシ)なら感慨深いが、デザイナーじゃない人は"これ使ってるわ"という共感なのかしら。もうちょっと各プロダクトのエピソード(使う人のリサーチや設計、生産との試行錯誤や生産技術的見どころ等)も紹介してくれてもよかったのでは。まあ美術館に日用品を並べて用の美を伝えるのも意義はあるが、ちょっと見る側に委ねすぎではないのかしら。まだ生々しい現場の様子をたどれば取材できるタイミングなのにディーターラムス展みたいに「過去の実績」扱いはちょっともったいないのではなかったか。
時が経つのは早いなあ、でも現役続行なプロダクツが多いのはすごいなあ。
そして先代の東急ハンズロゴは大好きだったので見たかったなあ。

11年経ってあの頃の宮城さんの年齢に近くなってきた、プロダクトデザインの立ち位置もどんどん変わってるというか広がった、薄まった。展示は思ったより見に来てる人も多く(地元ということもあり?)世田谷美術館(思えばこちらも80年代デザイン誌を賑わせた)と響きあってました。